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(撮影してもらいました)
自作防音室の落とし穴
さて、自作防音室の完成からしばらくが経ちましたが、最近1つ問題が起こったので記事にします。防音室完成から1年半ほどが経ちますが、ある日突然匂いが気になるようになりました。
防音室完成直後は、匂いが気になっていましたが、暖気と換気を繰り返して最近まで匂いは気にならなくなっていました。
しかし完成から1年半後、なぜか完成直後と同じように新築住宅のような匂いが防音室内に充満するようになりました。
換気設備はもちろん取り付けていますが、防音室内にしばらくいると頭痛や喉の違和感が起こるようになり、とても歌を歌える環境ではありません。
いわゆるシックハウス症候群です。
シックハウス症候群とは?
『シックハウス症候群』
一度は耳にしたことがあるでしょう。新築住宅などでよく起こる症状で、建材から揮発した成分が空気中を漂い、それらを吸い込むことによって発症します。
- 頭痛
- めまい
- 呼吸器系への刺激症状
シックハウスの原因は、ホルムアルデヒドやVOCと呼ばれる接着剤に含まれている化学物質が原因です。
匂いの正体は、防音室の壁や天井、床に使用した合板でしょう。自作防音室でよく使われている合板は、シックハウスの原因となる建材の代表です。
合板は薄い木を接着剤で貼り合わせて作られており、この接着剤に含まれている化学物質が時間経過とともに少しずつ揮発します。この揮発した接着剤の成分が匂いや頭痛、喉の違和感などの症状を引き起こします。
合板は安全性の高いF☆☆☆☆(フォースター)というJIS規格のものを使用していましたが、防音室内は狭く、気密性の高い空間であるため、シックハウスの原因物質の濃度が濃くなり、症状を引き起こしたのでしょう。
F☆☆☆☆(フォースター)
シックハウスの原因物質の1つであるホルムアルデヒドには規格が設けられ、規制が行われています。
ホルムアルデヒドの発散濃度を基準に規格が設けられており、「F☆」、「F☆☆」のようにFと☆で等級を現します。☆の数が多くなるほどより安全であることを表し、F☆☆☆☆(フォースター)が最も安全な材料となります。
しかしF☆☆☆☆だから安全とは言えないのです。F☆☆☆☆はホルムアルデヒドがゼロということを表しているわけではないからです。
またF☆☆☆☆の規格はホルムアルデヒドだけに特化したものであり、ホルムアルデヒド以外の原因物質に関してはなんら対策が行われていません。敏感な方であれば、シックハウス症候群を発症することも少なくないようです。シックハウスの原因物質は、ホルムアルデヒドだけではないため注意が必要です。
ちなみにホームセンターで売っているものは、大半がF☆☆☆☆となっているようです。
ホルムアルデヒドの揮発周期
さて完成から1年半ほどが経ったにも関わらず、なぜ今になって匂いが気になるようになったのでしょう。
防音室完成直後は、建材特有の匂いがしっかりとしていましたが、暖気と換気の簡単な対策で気にならなくなりました。匂いが気になるようになったのは、完成から1年半が経過した頃です。
疑問が生じたので調べたところ、新築住宅のホルムアルデヒドの平均濃度は2年目が最も高く、我が家の防音室の実態と照らし合わせても納得がいきます。
(参照)https://www.sunyou-namazu.co.jp/healthy_housing/debc6343321e8772fdb54c9e23e01587.html
シックハウス関連の記事では、化学物質の放散は1年で少なくなるといった情報をよく見かけますが、実際は3年ぐらいかかるといったところでしょうか。
しかしながら3年も待てません。すぐに再び防音室が使えるように、対策を考えました。
対策方法
せっかく時間と手間とお金をかけて頑張って作った防音室が使えないなんてことは避けたいものです。対策を紹介します。
①シックハウス原因物質の少ない材料を選ぶ
あなたがまだ防音室を作っていないなら、初めからシックハウスの原因物質の少ない材料を選べば間違いないです。
ただ、これを木材で実現するには、コストが高額となる可能性が高く、防音室を自作する上で大きなデメリットです。石膏ボードであれば大丈夫かもしれないですが、床の耐荷重が心配ですね。
②室内を暖める
すでに防音室をつくってしまった場合は内部を暖め、接着剤成分の揮発を早めることが効果的です。
一般住宅でもシックハウスが発症しやすいのは暖房器具を使う冬季です。私はデロンギを防音室内で使用し、数時間おきに暖めと換気を繰り返しました。
ちなみに防音室完成直後はこの方法で、喉の違和感や頭痛を感じなくなりました。
③塗料を塗る
しばらく暖気と換気を繰り返しましたが、思ったほどの効果はありませんでした。次の対策を取ることにしました。塗料を塗ってしまう方法です。
木材の表面を塗料でコーティングすることで、防音室内への接着剤成分の揮発を防ぎます。塗料に化学物質が含まれていては本末転倒なので塗料の選定が非常に重要です。
私は以下の塗料を使用しました。
食器にも使える塗料で安心です。当初はクリアを塗る予定でしたが、ホームセンターで偶然セールをしていたので色付きを購入しました。
塗装後、数日間換気をしっかり行い、塗料を乾燥させます。乾燥を早めるために、今回もデロンギを防音室内で使用しました。
塗装後すぐは塗料の匂いがしていましたが、しばらくすると気にならなくなりました。
問題のシックハウスの症状は、塗装で改善しました。頭痛や喉の違和感も起こらなくなり、これでまた自作防音室が使えます!
まとめ
防音室の自作は、時間も手間も大変にかかり、想像以上に大変です。頑張ってようやく完成した手作り防音室がシックハウスのために使えないなんてことは避けたいものです。
シックハウスの問題に関しては、完成してから悩みを抱えるケースが多いですが、設計段階であれば、材料の選定等、対策できることも増えます。頭の片隅に入れて設計した方が無難です。