『コンプレッサーはミキシングにおいて
最も重要なエフェクトである』
と言っても過言ではありません。
音楽制作のどんな場面においても
ラウドネスを均一化したり、
音の奥行きやキャラクターを
整えることが求められます。
コンプレッサーは扱い方次第で
そういった様々な使い方ができ、
非常に奥の深いエフェクトです。
それ故に初心者にとっては理解し難く、
最も難しいエフェクトでもあります。
そもそもコンプレッサーって何?
という方はこちらをご覧ください!
WAVES GOLDには
8種類のコンプがバンドルされています。
今回はそんなWAVES GOLDに
バンドルされているコンプを紹介します。
今回も効果を比較するため、音源を用意しました。
Cymaticsのサンプルを使用しています。
コンプのセッティングは
実際の使用時を想定し、調整しています。
以下バイパス音源です。
CONTENTS
WAVES GOLD バンドルコンプ一覧
H-Comp
◆Bypass
◆ON Effect
H-Compの長所を最大限活かせるようアプローチを掛けました。極端なThresholdの設定によるパラレルコンプレッションに加え、サチュレーションとアタック強調による歪みにより、元素材の特徴的なローファイ要素が際立つようにしています。
どこかクラシックなオレンジのUIと
骨太なノブのデザインが目を引く、
アナログ/デジタルの両面性を持つ
ハイブリッド・コンプレッサーです。
GOLDにバンドルされているコンプレッサーでは
個人的にもお気に入りで、使用頻度も最も高いです。
特徴的な機能の一つとして、
パラレルコンプレッションが
できることが挙げられます。
原音とコンプされた音を混ぜることによって、
パンチ感を出しつつ、
コンプ感を薄くすることができます。
考え方としては、リバーブも同じですね。
MIXノブ1つで簡単に
パラレルコンプレッションを行うことができ
扱いやすいコンプレッサーです。
そのほか、Analogノブでサチュレーションを、
Punchノブでアタック感を調節することができます。
C1-Compressor
◆Bypass
◆ON Effect
コンプレッサーとしての機能のほかに
ゲートやリミッターとしての機能も搭載しています。
C1-Compressorは、
特定の帯域に対して
コンプレッションを行うことができます。
1バンドのマルチバンドコンプのような
使い方をすることができ、
オールインワンの
1バンド・ダイナミックイコライザー
とも言うことができますね。
C1-Compressorの最大の特徴は、
アナログ機材にもあるような
低域のポンピングを防ぐための
特定帯域をトリガーとした
オフコンプレッション……
いわゆるサイドチェインを
帯域を指定して掛けることができます。
現代ではEDMにおいて
あえてポンピングを起こさせるエフェクトとして
サイドチェインは有名ですね。
V-Comp
◆Bypass
◆ON Effect
アナログモデリングプラグイン、
『Vシリーズ』のコンプレッサーです。
WAVES GOLDでは、
EQにおいても
Vシリーズがバンドルされています。
モデリング元はNeve2254という名機で、
ウォーミーかつグルーな出音が特徴的です。
V-EQと同様に、
つまみを少し動かすだけでも、
実に良い仕上がりになります。
元々がバスコンプレッサーとして
設計されているためか、
倍音は控えめで、
求める音によっては
少し物足りない印象はありますが、
調節次第で、攻めた音をつくることも可能です。
Renaissance Compressor
◆Bypass
◆ON Effect
WAVESの優秀なプラグインシリーズ、
『Rシリーズ』のコンプレッサーです。
出音はウォーミーで、使い勝手はシンプル、
掛かりがよくGUIも見やすいため、
初めてのコンプレッサーとして
非常にオススメです。
Warm/Smoothによるサチュレーションと、
Arcモードによる
リリースタイムの自動化ができます。
そのほかOptoという
動作モードが搭載されています。
Optical、つまり光学式コンプレッサーですが、
その名前とは相反して
アタックが遅く、掛かりが滑らかです。
総評して、デジタルらしいコンプと言えます。
Renaissance AXX
◆Bypass
◆ON Effect
こちらも『Rシリーズ』ですが、
前述のRシリーズのコンプより直感的に扱えます。
いくつかのパラメーターを
自動制御していることにより、
Threshold、アタック、MakeUpのみで
出音を調整することができます。
音楽制作は、いつも時間との戦いです。
もちろん、より良い音にするために
追い込むことをおろそかにはできませんが、
永遠に時間を掛けるわけにもいきません。
そんな過酷なプロ現場にも
耐えうるクオリティを持ちつつ、
素早い設定でしっかり働いてくれる
そんなプラグインとして開発されたのが
Renaissance AXXです。
スレッショルド量に応じて
レシオが自動で変化するなど、
普通のコンプレッサーにない機能が充実しています。
掛け方も単純で、
出音をモニタリングしながら
ThresholdとGainをいじるだけ。
本当に一瞬で作業が終わります。
MV2
◆Bypass
◆ON Effect
MaxxVolumeのエンジンをベースに
機能が簡素化されたシンプルなプラグインです。
その効果は「音量感のコントロール」です。
これだけ聴くと、
SonnoxのInflator
というプラグインを連想させますね。
MV2はInflatorと同様、
僅かなツマミでダイナミクスやラウドネスを
大きく変化させることができます。
しかし、その構造は全く違います。
Inflatorは、
もう上げようがない天井パンパンの音に
サチュレーションによるアプローチで
音量感を増すという仕組みです。
対してMV2は音量感による
SCフィルターのような働きをすることで、
全体ではなく、かかって欲しいボリュームに
適切なアプローチを行うことができます。
要するに、、、
小さいところは音量を上げる、
大きいところは音量を下げる、
といったことが簡単にできます。
Eddie Kramer Drum Channel
◆Bypass
◆ON Effect
Eddie Kramerという、
エリック・クラプトンやジェフベックを手掛けた
名エンジニアのエッセンスを凝縮させた
至高のチャンネルプロセッサーです。
同じようなコンセプトの
WAVESプラグインは
Scheps Parallel Particlesや
IMpusher、Abbey Road Collection
などがあります。
こういうエンジニアの技法を
ワンパッケージにまとめているタイプの
Wavesプラグインはどれも非常に質が高いです。
シンプルなデザインですが
中の挙動はブラックボックスであり、
つまみを少し回しただけで
様々なチェインが施され、
一気に出音が仕上がります。
L1 Ultramaximizer
◆Bypass
◆ON Effect
最後はWAVESの
名リミッター/マキシマイザー、L1です。
マスタリング用途として、
一般的なリミッター機能に加え、
Ditherの再クオンタイズができるなど、
終盤の調整に心強い機能が多く搭載されています。
そのかかりの良さと
動作モードの汎用性の高さゆえ、
個々のトラックにかけても成立します。
最近GUIが一新され、
長い歴史を持つ古参プラグインでありながら
最新のプラグインに勝るとも劣らない
クールな見た目になりました。
操作感も分かりやすく、
WAVE GOLDバンドルの対応力の高さを感じます。
さいごに
1つのパッケージに
これだけのコンプレッサーが
バンドルされているWAVES GOLD。
WAVES GOLDがあれば、
音楽制作において
最低限のことはカバーできます。
しかし、そのバンドル数の多さゆえ、
なかなか扱いきることは難しいでしょう。
まずは入門としてGOLDで扱いに慣れましょう。
GOLDを使いこなせるようになれば
アップグレードを考えてもいいでしょう。
WAVESのパッケージは上位バンドルになると
アナログコンプレッサーの
モデリングなどの種類も増え、
より多くのことができるようになります。