イコライザというエフェクトは
ミックスにおいて必要不可欠であり、
突き詰めれば突き詰めるほど
奥が深いプラグインです。
故にプロエンジニアにもなると
複数のEQを使い分けていることが
ほとんどです。
EQに関する解説はこちら!
WAVES Gold Bundleにも
プロユースに耐えうる製品として
複数のカラーの違う
デジタルEQが用意されています。
今回はそんなWAVES Goldに
バンドルされているEQ群を
詳しく解説していきます。
今回はEQの効果を比較できるよう
音源を用意しました。
効果をわかりやすくするため、
やや派手めに掛けています。
■使用音源について
Komplete 12付属
Session Guitarist Strummed Acoustic 2
ベタ打ちで作成してます。
こちらがバイパス音源です。
CONTENTS
WAVES Gold バンドルEQ一覧
V-EQ3
◆Bypass
◆ON Effect
HP、LFでそれぞれ不要帯域をカットし、MFとHFで高域を持ち上げ、少しゴージャスに仕上げました。
そのクラシカルな見た目の通り、
アナログEQの名機、
Neve-1073と1066を
モデリングしたEQです。
周波数が固定されており、
ツマミで調節するタイプです。
シンプルながら必要な機能が揃っています。
Analogボタンを押せば、
モデリング元のNeveサウンドの
周波数特性を再現します。
外側のツマミで周波数を、
内側のツマミでゲイン/カットの
数値を決めるという仕組みです。
つまみが非常に少ないため扱いやすいです。
歪み部分も極端に
色がつくわけではないので、
軽く掛けるだけで
ウォーミーに仕上がります。
V-EQ4
◆Bypass
◆ON Effect
V-EQ3のときと同じような掛け方してますが、それより細かく設定してます。
V-EQ3同様、
Neveシリーズより1081をモデリングした
4バンドアナログモジュールEQです。
見た目はV-EQ3とほとんど同じですが
つまみがV-EQ3より多く、
ざっくりとした操作感はそのままに
繊細にまとめることができます。
ハイパス/ローパスの2種類フィルターと
ローミッド、ハイミッドのベルを
より高くする機能が特徴的ですね。
Q10 Equalizer
◆Bypass
◆ON Effect
VEQと同じコンセプトで調節してますが、色付けがない分、少し強く掛けてます。
おそらくWavesのデジタルEQで
最も機能の豊富なデジタルEQでしょう。
最大10バンドですが、
1,2,3,4,6,8バンド版も同梱されています。
GUIも見やすく精度も高い、
実に使いやすいデジタルEQです。
それ故に昨今の優秀なDAW付属EQと
差別化が図りづらいところですが、
ショートカットや高品質のプリセット等、
細かいところでの使い勝手が良いため、
個人的に愛用している
デジタルEQの一つです。
掛かりも良く、扱いやすいEQです。
eMo Q4 Equalizer
◆Bypass
◆ON Effect
eMotion LV1 Live Mixerという
ライブ向けの
デジタルチャンネルストリップから、
イコライザーだけが機能的に
抜粋されたプラグインとなります。
そのためGUIはシンプルで
ライブ中でも把握できるよう
機能も最小限なので、
作り込むという類のEQではないです。
しかしL-Rで個別に処理ができる点など
他のEQにはない機能が搭載されており、
意外としっくりハマる場合があります。
Renaissance Equalizer
◆Bypass
◆ON Effect
中域を緩く、高域を高く持ち上げました。天井感が高いので、安心してゲインを上げることができます。
WAVESのデジタルプラグインの中でも
屈指の人気を誇る
Renaissance(ルネッサンス)
シリーズのEQです。
リアルタイムのグラフの見やすさと
アナログモデルのカーブ特性を
コピーした扱いやすいEQです。
Q10よりもこちらのほうが定番でしょう。
掛かりも派手ではないので破綻しづらく、
McDSPのFilter bankに
近い性質があるかもしれません。
処理に困ったらとにかくこれを挿し、
色付けで他のアナログに差し替えたり
アナログモデリングEQと組み合わせるなど、
使い方は無限大です。
Vitamin Sonic Enhancer
◆Bypass
◆ON Effect
イコライザーではないですが、
周波数特性ベースでコントロールする
という意味でEQにカテゴライズしました。
実際は名前の通りエンハンサーであり、
帯域別に倍音を付加させるほか、
ステレオイメージャーとしての
機能も持ち合わせています。
EQ、コンプレッサー、
サチュレーションなどの音作りを、
帯域別のフェーダー上げ下げで
自動で処理してくれます。
音作りが非常に楽しく、
人気のあるプラグインです。
また他のアナログモデリングEQと
掛け合わせ、倍音付加のみを目的として
使用してもかなり良い効果が出ます。
実際に、Vitamin単体とV-EQ4との
チェインを用意しました。
聴き比べてみてください。
◆Vitamin単体
◆Vitamin + V-EQ4
MaxxBass
◆Bypass
◆ON Effect
ギターサウンドの重心をかなり低くしてみました。強めにかけても破綻しません。
EQとはいい難いですが、
VitaminをEQとしたため、
EQにカテゴライズしました。
こちらは基音を元に計算された
より高い帯域の倍音を発生させ、
基音をより強く認識させる
Missing Fundamentalを応用した
ローエンドへのアプローチプラグインです。
同じWAVESのLoairやSubmarine、
Ozone9のLow-end Focusや
LeapwingのRoot oneに近い効果です。
ただしこれらのプラグインと違い、
低音に直接アプローチするわけではないので
使い分けができます。
強めにかけているのに破綻しないのも、
上記の理論を元に
精密に働いているからですね。
Sibilance
◆Bypass
◆ON Effect
今回のトラックには、1小節目のミュート部分のアタックを若干和らげる程度に掛けています。
ディエッサーは、
高域に固定されたダイナミックEQ
といえば理解しやすいかもしれません。
人によってはコンプ
という考え方もありますが、
少なくとも私はEQの一種として
考えています。
コンプレッサーのように
InputとThresholdのパラメーターをベースに
音色変化を期待するものではなく、
特定帯域のピークに
リダクションを掛けるためです。
これは使い方によって
捉え方に変化があるかもしれませんが、、、
SibilanceはOrganic ReSynthesisという
新しい技術を用いて作られた
最新式のディエッサーです。
名前の通りシビランス(歯擦音)を
カットするのに適しています。
ピークの鋭い大音量の
オープンハイハットなどの
楽器の耳につく高域を
抑えることができます。
最新鋭のプラグインらしく、
リダクション量が分かりやすく
GUIで見やすく表示されているのも
ポイントですね。
EQで録り音を細くしたくないけど
既にコンプレッサーで潰しきっている、
しかしもっとレベルを高くしたい。
そんなトラックやバスに
使用するといいです。
うまくまとめていきましょう。
DeEsser
◆Bypass
◆ON Effect
Sibilanceとは逆にThresholdを大きく下げて、全体に強めのReductionが掛かるようにしました。
音量を気持ち大きめに上げたときの天井感を、高域に着目して聞いてみてください。
公式が「ヴィンテージライク」と
称する通り、
アナログでローファイな見た目が特徴的な
Wavesのディエッサーです。
Sibilanceと比較すると、
ただでさえシンプルなディエッサーが
よりシンプルになり、
Thresholdをいじるだけで
処理が完結します。
もちろんそれだけの機能ではなく、
サイドチェインと、ソロでSCを
モニタリングすることもできます。
シンプル故の使いやすさが魅力です。
より細かいことをしたければSibilance、
手早くまとめたいときはDeEsser
と使い分けるといいでしょう。
eMo F2 Filter
◆Bypass
◆ON Effect
Lo-fi感を出すラジオボイスを作るためのエフェクターとして掛けました。ここからハイパスを開いていき、曲の展開に使ったりします。
eMotion LV1 Live Mixerの
フィルター部分となります。
ゼロレイテンシー、マルチタッチ対応など
とことんライブ向けであり、
イコライザと言ってもハイパス、
ローパスのフィルターのみとなっているため、
普通のEQのように
使うことはできないでしょう。
実際のミックスでは
私はほとんど使ったことがありません。
EDMなどでのトラックメイクの際、
ビルドインの際のシンセリフに
オートメーションなどで
掛けたりするのに使えるかも知れません。
普通のEQで掛けるよりも、
パラメータの少なさや
L-R個別に掛けられるなどの
機能差故に扱いやすいと思います。
さいごに
1つのバンドルの中に
これだけ多くのEQが
収録されているのは驚異的です。
同じくらいコスパの良いバンドルは
Plugin Allianceくらいでしょう。
https://www.plugin-alliance.com/
ただしPlugin Allianceとは違い
WAVESは買い切りでこの価格、
この量というところに特別性があります。
初めて購入する際は
あまりの量に戸惑うでしょうが、
うまく使えれば楽曲のクオリティは
間違いなくレベルアップします。
また使いこなすための研究の過程が
実力に繋がることも多いです。
たくさんのEQを触ってみて
スキルアップしましょう!