- 音楽制作に興味はあるけど、何から始めればいいかわからない。
- たくさん機材あるけど、どれを買えばいいの?
- やっぱりそれなりの値段のものを買わないと使い物にならない?
これまでにDTMを始めた沢山の方によく質問された内容です。確かに種類はたくさんあるし、価格も数千円のものから数十万円以上のものもあります。
購入する際に大切なことは、あなたがDTMでどんなことがしたいかです。
- 楽曲制作がしてみたい!
- ボカロ曲をつくりたい!
- バンドでレコーディングをしたい!
- 歌ってみたがしたい!
色々あると思いますが、一口にDTMを始めるといっても、用途やつくりたいもので、必要な機材は大きく異なります。
DTMと機材
PC(必須)
当たり前ですが、必ず必要となるのがPCです。DTMはPC上で音楽制作を行うわけですから必須ですね。
どれぐらいの音楽制作を行うかによって、必要スペック等も変わってきます。初めからハイスペックなPCで作業できれば快適ですが、その分高価になり、なかなか気軽に買えるものではありません。
スペックについて詳しく説明すると長くなるので、PCについては後日別記事でまとめますね。今回はPCは持っていると言った前提でお話ししていきます。
DAW(必須)
もう1つDTMに必須なものが、DAWです。DAWはDigital Audio Workstationの略で、PCにインストールする音楽制作専用ソフトです。音楽制作に必要な処理をすることができます。
- 音を録音する(レコーディング)
- 音を加工する(ミキシング&マスタリング)
- 打ち込みをする(MIDIデータの編集&ソフトシンセの演奏)
一昔前はProTools一択でしたが、現在では沢山のメーカーから発売されています。様々な選択肢がありますが、Windowsでしか動かない、Macでしか動かないものもあり、購入時は注意が必要です。
オーディオ・インターフェイス
オーディオインターフェイスは、音の出入り口に当たり、パソコンとスピーカーや楽器、マイクなどを接続するための機器です。
- マイクやギターの音をPCに取り込む
- PCで再生した音楽をスピーカーから流す
DTMをする上で必須と言われるオーディオインターフェイスですが、無くてもDTMはできるんです。昔はインターフェイスを接続しないと、立ち上がらないDAWもありましたが、現在ではPCとDAWだけでDTMを始めることができます。
- 高品質の録音・再生を行いたい
- 多チャンネルの同時録音を行いたい(バンドの一発録りなど)
ギターやベースなどの楽器をラインで録音したい場合は、オーディオインターフェイスは初めから購入しておいた方がいいでしょう。PC搭載のインターフェイス機能では、録音の品質やノイズの問題、レイテンシー(音の遅れ)の問題などがあり、かなり無理があります。
基本的にPCには、最低限のインターフェイス機能が搭載されています。初心者であればこれを活用するといいでしょう。PCによっては、入力や出力の端子がないものもあります。ご自身のPCを確認しておきましょう。
スピーカー
スピーカーはイメージがしやすいですよね。PC上で再生した音を外部に出力するためのものです。もともと本体に搭載されているPCもあります。
音楽制作をしたことがない人にとっては、スピーカーの必要性がわからないかもしれません。PCにスピーカーが搭載されていれば、スピーカーを購入せずとも音を流すことができます。端子があれば、ヘッドフォンを繋いで音を聴くこともできます。
わざわざスピーカーを用意する理由として、「大きな音で聴ける」、「いい音で聴ける」、「迫力がある」なんて考えがちですが、音楽制作で使用するスピーカーの意味は違います。音楽制作で使用するスピーカーの意味は、正確に音をモニタリングすることにあります。
そもそも音楽制作用のスピーカーは、音楽鑑賞用のスピーカーと違い、心地よく音楽を聴けるようにはつくられていません。
スピーカー不要論もありますが、私は本格的にDTMをするのであれば、スピーカーは必須の機材だと考えています。私自身もスピーカーを入れ替えた途端、あらゆる音が聴こえるようになり、格段にミックスがしやすくなった経験があります。
ただスピーカーは、近隣への騒音や部屋の反響などに注意する必要があり、価格面でもヘッドフォンよりも導入のハードルが高いです。初めてのDTMの場合は、一旦スピーカーなしで始めて、必要性を感じた時に購入することがオススメです。
ヘッドフォン
ヘッドフォンもスピーカーと同じように、リスニング用とモニター用があります。音楽制作で使用するヘッドフォンは、味付けのないモニター用ヘッドフォンが理想です。
ヘッドフォンでは、左で鳴らした音は左からしか聴こえませんが、スピーカーでは、反対側の耳にも音が届きます。仕上がりの際、ステレオ感に大きな差が出ます。
- ステレオイメージ(音の広がり)が実際よりも広く聴こえる
- 低域の反応がいい
初めてのDTMの場合は、ヘッドフォンがオススメです。スピーカーより価格が安く、音量の問題もクリアでき、夜中でも作業ができます。余裕があるなら、ヘッドフォンとスピーカーの両方の使用が一番のオススメです。
プラグイン
DTMでいうプラグインとは、音の調整や加工をするソフトウェアを指します。DAWに無料で付属してくる場合が多く、最初はこれらを活用するといいでしょう。不満を感じた際に、必要なものを買い足してください。
- イコライザーやコンプレッサーなどの音を加工するもの
- ボーカルの音痴な部分を修正するピッチ補正機能
- AIによる自動ノイズ除去・自動ミキシング
ソフトシンセ(音源)
楽器の音をシミュレートしたソフトウェアです。コンピューター上で、様々な楽器の音を鳴らすことが出来ます。こちらもDAWに無料で付属してくる場合が多いです。
現代の音楽は打ち込みでつくられることも多いです。打ち込み主体の音楽制作では、たくさんの音源が必要になります。バンドの楽曲制作では、メンバーがいるパートは実際に演奏して、足りないパートは打ち込みでつくるなんてこともよくあります。
各楽器それぞれオススメがありますが、非常に長くなるので、今回は割愛します。
MIDIキーボード
MIDIキーボードがあれば、鍵盤を使って効率的に打ち込みができるようになります。作業効率が上がりますが、DTM初心者には不要です。
マイク
歌を録音する予定があるなら、マイクが必要になります。DTMで使用するマイクは大きく2種類あり、ダイナミックマイクとコンデンサーマイクと呼ばれるものになります。
- ダイナミックマイクは、カラオケのマイクで、衝撃に強い
- コンデンサーマイクは、クリアな音で録音できるが、衝撃に弱い
DTMでの使用であれば、よりクリアに録音ができるコンデンサーマイクをオススメします。
\マイクの詳しい解説はこちら/
各種ケーブル類
スピーカーやマイクを購入する予定なら、各種ケーブル類が必要か確認しておきましょう。購入した機材に付属してくる場合もあります。
DTMに必要な最小限機材リスト
【0円】インスト曲つくれます!
- インスト曲(歌のない楽曲)
実はタダでDTMを始める方法があるんです!できることは限られてしまいますが、初めてのDTMで「ちょっとやってみたい。」、「DTMってどんなものだろう。」といった方にオススメできます。
- DAW(無料版)
各メーカーのDAWには、無料のお試し版が用意されているものがあります。無料版は、期限付きで使用できたり、機能に制限がかけられているものがほとんどですが、簡単な音楽制作なら、できるようになっています。
Studio One Prime / PreSonus
(参照)https://www.mi7.co.jp/products/presonus/studioone/prime/
- Win/Mac対応
- トラック数無制限
- 使用期限なし
- 基本操作は上位モデルと同じ
- 10種類のエフェクトが使える
- フリープラグインが使えない(VST非対応)
PreSonus社のDAW「Studio One」は、割と最近になってよく目にするようになりました。DAWメーカーはたくさんありますが、その中でも後発のDAWです。
「Studio One」シリーズには、3つのラインナップがあります。その中でも「Studio One Prime」はエントリーモデルにあたります。エントリーモデルといっても、トラック数は無制限で使用期限もありません。
有料版との大きな違いは、VST規格に対応していないこと、要するにフリープラグインが使えません。また付属の音色は少なめです。
\インストールはこちら/
DTMに慣れれば、上位版の購入を検討しましょう。有料版になるとVST対応となり、フリープラグインを使えるのでオススメです。最上位版の「Studio One Professional」では、ピッチ補正ソフト「Melodyne Essential」も付属しています。
\上位版はこちら/
【2万円】「弾き語り」、「歌ってみた」がしたい
「弾き語り」や「歌ってみた」がしたいのであれば、マイクが必要となります。「弾き語り」であれば、マイクでギターと歌を録音する、「歌ってみた」であれば、カラオケ音源をDAWにインポートして、歌をマイクで録音するといった感じになります。
- DAW(無料でもできます)
- マイク
- ヘッドフォン
音楽制作で使用する一般的なマイクは、ジャックがPCと対応しておらず、オーディオインターフェイスなしでは使えませんが、ジャックがUSBタイプになっているものであればオーディオインターフェイスがなくても使えます。
音楽制作で使用されるマイクは、大きく分けて2種類ありますが、よりクリアに録音ができる「コンデンサーマイク」がオススメです。
audiotechnica / AT2020USB+
AT2020USB+の特徴
- 安価で高品質
- USB接続なので、オーディオインターフェイスがなくても使える
- 本体にイヤホンを接続できる
- 小型で持ち運びにも便利
- 付属品がある(専用スタンド・USBケーブル・マイクポーチ)
実際に録音した音を聴きましたが、非常にクリアでした。1万円台ではコスパ抜群のコンデンサーマイクです。
\実際の録音は以下より/
こちらで紹介したAT2020はUSBタイプです。オーディオインターフェイスをお持ちの場合は、USBではないタイプのものを選びましょう。
SONY / MDR-7506
ボーカルレコーディングを行うのであれば、ヘッドフォンが必須になります。モニター用のヘッドフォンを選ぶ際は、ヘッドフォンからの音漏れがマイクに入らないように、密閉型のヘッドフォンを選ぶことがポイントです。
- 密閉型
- 折り畳み可能
- カールコード
- ステレオ標準ジャックとステレオミニジャックに対応
- どちらかというと海外の定番モニターヘッドフォン
業界定番のモニター用ヘッドフォンといえば、「赤帯」と呼ばれるSONYのMDR-CD900STというものがありますが、今回は「青帯」と呼ばれるMDR-7506を紹介します。こちらも業界定番のヘッドフォンで、価格は赤帯より少し安いですが、十分な性能持っています。
折り畳みが可能で持ち運びにも便利です。赤帯は高音がややきつく、ミキシングには不向きですが、青帯はモニター用、ミキシング用にも使いやすいモニターヘッドフォンです。
【3万円】ボカロ曲をつくりたい
ボカロ曲を作るなら、必要となるのはボーカロイド。たくさんのキャラクターがいますが、オススメは「初音ミク」です。CRYPTON社のボーカロイドなら、DAW「Studio One Artist Piapro Edition」がソフトに付属するため、すぐにDTMを始めることができます。
- DAW(ボーカロイドに付属)
- ボーカロイド
- ヘッドフォン
CRYPTON社のボーカロイド(初音ミク、鏡音リン・レン)には、2つのバージョンが用意されているものがあります。違いは英語のライブラリが付属するかです。通常盤は英語のライブラリが付属しません。後から英語のみの追加はできないので、英語のライブラリが付属しているものがオススメです。
【4万円】バンドでレコーディングがしたい
バンドのオリジナル曲制作やカバー曲の制作でレコーディングをしたいなら、オーディオインターフェイスは購入した方がいいでしょう。ボーカルを録音する予定があれば、マイクも必要です。
- DAW(無料版)
- オーディオインターフェイス
- マイク
- ヘッドフォン
とりあえずであれば、DAWは無料のものでも使えますが、よりクオリティを追求するなら、有料版のDAW購入した方がいいでしょう。
STEINGBERG / UR22mkⅡ[オーディオインターフェイス]
- 2in2out
- 24bit / 192kHz
- Mac / Windows / iPadに対応
- MIDI接続可
- USBバスパワー(アダプタも使えます。)
- DAW「Cubase AI」が付属
UR22mkⅡは、これからDTMを始めるにあたって、非常に使いやすいオーディオインターフェイスです。価格は1万円台でありながらも、必要な機能がコンパクトにまとめられています。初めてのオーディオインターフェイスにUR22mkⅡを選ぶ方も多いです。
付属の「Cubase AI」は人気のDAW「Cubase」シリーズの下から2つ目のグレードになります。トラック数などに制限がありますが、32トラック使えるので、初心者なら問題ないでしょう。
audio technical / AT2035
- AT2020よりもS/N比が高く、ノイズに強い
- ローカットスイッチがついている
- ショックマウント・マイクポーチが付属する
- ファンタム電源が必要
先ほど紹介したAT2020の上位モデルです。USB接続ではないので、使用にはファンタム電源が必要です。ファンタム電源とは、ミキサーやオーディオインターフェイスに備わっており、マイクケーブルを通してマイクに電源供給を行います。お手持ちのオーディオインターフェイスを確認しておきましょう。
またレコーディングを考えた際に、ショックマウントが付属している点は大きなメリットです。AT2020は、ショックマウントは付属しておらず、専用スタンドが付属しています。
【20万円】ワンランクアップしたDTM環境
ここまでは本当に必要最小限の構成を紹介してきました。ここからはワンランクアップした機材構成を紹介します。
- DAW
- オーディオインターフェイス
- マイク
- スピーカー
- ヘッドフォン
- プラグイン
STEINBERG / CUBASE PRO 12 [DAW]
- Cubaseの最上位モデル
- Win / Mac 対応
- トラック数無制限
- プロも使用している本格DAW
- ボカロとの連携も良い
上位モデルになると、各メーカー間での性能の差は小さくなりますが、私はCubase Proをオススメします!国内で最も使用者が多く、何か困ったことがあっても、ネット上に情報が転がっている可能性が高いです。
逆に初心者に最もオススメできないのがProToolsです。レコーディングスタジオにおいて、業界標準のDAWですが、コスパが非常に悪く、個人での保有にはオススメしません。レコーディングスタジオとのデータのやり取りは、ファイルをそのまま受け渡しできるので楽です。現在は新規の永続ライセンス購入が終了、サブスクリプションのみのプランとなっており、さらにコスパが悪いです。
MOTU / M2 [オーディオインターフェイス]
- 2in2out
- 24bit / 192kHz
- Win / Mac対応
- ループバック機能搭載でライブ配信にも使いやすい
- USBバスパワー
3万円とは思えないクオリティ、コスパ抜群のオーディオインターフェイスです。2022年現在、人気で品薄状態が続いています。
\こちらの動画でM2とハイエンド機種との音質比較をされています!/
もう、これは聴いてもらった方が早いです。ハイエンド機種と比較すると、差がはっきりと見えてしまいますが、価格を考えるとM2は素晴らしいですよね。非常に貴重で贅沢でありがたい動画です。
SONY / MDR-CD900ST [ヘッドフォン]
- 業界標準のモニターヘッドフォン
- 音質はやや高音寄りで固い印象
- 部品が豊富で長く使える
- 音楽的というよりは、分析的で楽曲の中の粗探しがしやすい
赤帯と呼ばれる業界標準のモニター用ヘッドフォンで、常備してるスタジオがほとんどです。音質はフラットな音という意見をよく目にしますが、決してフラットな音ではないと思います。やや高音よりで硬い音、立体感がなく、長時間聴いていると耳が疲れます。
このヘッドフォンのいいところは、分析的で1つの音をより細く確認することができる点だと思っています。楽曲中では、全ての音が1つ1つ聴こえます。チェックモニターとして非常に優れており、楽曲中の粗探しにはMDR-CD900STが一番だと思います。
業界標準で大抵のスタジオに置いてあるため、環境に左右されず、いつも同じ音でモニターすることができます。部品が豊富で、壊れても部品を交換することができ、長く使うことができる点もいいですね。
YAMAHA / MSP5 STUDIO (2022年7月 生産終了)
- 業界標準のモニタースピーカー
- フラットで解像度の高い音
- バフレス型で
プロでも使っている方が多く、モニタースピーカーの定番です。解像度の高いフラットな音が特徴で、モニタースピーカーとして非常に使いやすいです。バフレス型(スピーカー背面に低音を出す穴がない)で、スピーカー背面の壁の影響を受けにくい構造です。
WAVES / Gold Bundle [プラグイン]
- 42種類以上のプラグインが一通りバンドルされている
- 業界標準のWAVESプラグインの中でも定番のものが中心!
- 頻繁にセールを行っており、セールで購入するのがオススメ!
プラグインのバンドル数が多く、高品質で価格も手頃、初めてのプラグイン購入はWAVES Gold Bundleがオススメです!EQ、コンプ、モジュレーション、空間系などミキシングに必要なエフェクトが一通りバンドルされています。
購入時はセールのタイミングで購入するようにしましょう。プラグインは90%OFF以上のセールを頻繁に行います。
\WAVES GOLDの詳しい解説はこちらから!/
audio technica / AT4040 [マイク]
- 音質は味付けのないフラットな音でクリア
- 歌い手を選ばず、どんなジャンルにも合わせやすい
- 付属品が豊富(ショックマウント・マイクケース・ダストカバー)
オーディオテクニカを代表するマイクです。オーディオテクニカのマイクラインナップでは中間クラスに位置します。
フラットな音が特徴で、音自体に面白みは少ないです。しかしサウンドそのものに味付けがない分、エフェクトの乗りがよく、録音後の処理もやりやすいです。性能を考えると安価でコスパのいいマイクです。
まとめ
弾き語り、歌ってみたがしたい
ボカロ曲をつくりたい
バンドでレコーディングがしたい