前回は音価について説明しました。
基本的なところを理解頂いたところで
楽譜を読むポイントととして
音価やリズムのお話をもう少しさせて頂きます。
今回は第2回、
タイとスラーについてお話させて頂きます。
↓過去回はこちら
タイとは?
タイとは、
同じ高さの音符を弧線で結び
1つの音符のようにつなげて演奏することを表します。
何のことかわからないですよね?
では、実際に見てみましょう!
2つの音符が弧線で結ばれていますよね。
これがタイです。
これは説明するよりも
聴いて頂いた方が理解が早いかと思いますので
2つのメロディを比較します。
こちらがタイを使用した方です。
次は、タイを使わず、そのまま演奏してみます。
いかがですか?
違いますよね?
タイでつながれた後ろの音符は発音せず、
音の長さにのみ影響します。
つまり、タイで繋がれると1つの音になるということです。
ここで疑問に思った方はいませんか?
例えば、8分音符同士をタイでつなぐのであれば、
4分音符1つで表現できますよね。
これは楽譜の見やすさや
楽譜を見たときの理解のしやすさによるものです。
タイを使わず書かれた譜面は
リズムが分かりにくものとなります。
シンコペーションについて
タイに関連する音楽用語として
“シンコペーション”というものがあります。
音楽に馴染みのない方は
あまり聞き慣れない言葉ですよね。
一般には「食う」なんて呼ばれたりします。
シンコペーションとは、
弱拍と強拍のパターンを変え
独特の効果をリズムに与えることをいいます。
ですが、理屈っぽくて
これだけの説明だとわからないですよね。
音源を用意しました。
これも実際に聴いて頂いた方が早いでしょう。
まずはシンコペーションなしです。
次にシンコペーションありです。
以下がシンコペーションの方の楽譜です。
いかがですか。
リズムに変化がありましたよね。
楽譜で見ても、
小節の終わりの音符と始まりの音符がタイによって結ばれています。
ちなみに、シンコペーションが一般的に「食う」と呼ばれているのは、
前の小節の最後の音が、
次の小節の最初の音を食べてしまったかのようなイメージを持つからです。
現代音楽では、多くのヒット曲にもよく使われています。
シンコペーションを使用すると
4つ打ちなどのリズムの前に進もうとする力は犠牲になります。
しかし、この独特の「食った」リズムが、
カッコいいキメになったり、
耳に残るような印象的なフレーズをつくり上げているのです。
スラーとは
タイによく似たものとして
スラーというものがあります。
スラーとは、
いくつかの音符を弧線でくくり
滑らかに演奏することを指示するものです。
楽譜上では以下のように表します。
タイとよく似ていますよね。
滑らかに演奏するというのは、
音がつながっているかのように演奏するということです。
タイとスラーの違いについて
さて、タイとスラーの両方を説明しましたが
どちらも同じ弧線で表す音楽記号です。
ここで違いをまとめておきます。
まず、それぞれの意味です。
タイ:同じ高さの音符を弧線で結び、1つの音符のようにつなげて演奏する。
スラー:いくつかの音符を弧線でくくり、滑らかに演奏する。
これはもう大丈夫ですよね。
それでは、楽譜上でのタイとスラーの見分け方についてです。
弧線がかかっている音符の数
弧線がかかっている音符の数で判断ができます。
このように3つ以上の音符にまたがって、弧線がかかっている場合はスラーです。
タイの場合、2つの音符にのみ、かかっています。
3つ以上の音符にタイをつける時は、音符ごとにタイをつけます。
つながれている音符の高さを見る
基本的にタイは、同じ高さの音符同士でつながれます。
逆にスラーは、違う高さの音符同士で結ばれます。
ー注意ー
一点だけ注意があります。
下の図は、同じ高さの音符同士を結んでいますが、これはスラーです。
音符の下についている「・」はスタッカート、
「 – 」はテヌートを表しています。
スタッカートとは、音を短く切って演奏する、
テヌートとは、音を十分保って演奏することを表します。
(テヌートの意味が少し曖昧ですが、簡単に言うと、音を大切にするということです。)
このような場合は、タイのように音をつなげず、
音符のまま、一音ずつ演奏します。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
この辺りの理解が進むと、
だんだんと楽譜が読めるようになってきます。
今回で音価のお話は終了です。
かなり簡単にまとめたつもりですが、理解頂けたでしょうか。
次回からは次のステップです。
↓次回はこちら
↓過去回はこちら